ようやく3補選が終わってホッとしたと思ったら、今度は情勢報告会やら検討会やらに駆り出され、さらには政局の行く末まで問われる事態となってきております。選挙関連の調査をやってるから知っている部分はあるにせよ、全体のことなんてわからんっての。
何度かご依頼いただきながらも日程が合わずお断りしていた選挙ドットコムという媒体からご依頼があって、うっかり収録したらその日のうちに放送されてしまいまして、断った他の媒体から「おまえなんで選挙ドットコムだけは出てんの」とか嫌味言われて残念な気分になっています。忙しいんだからしょうがないじゃん…。
岸田政権の行く末を占う衆院三補選、立憲系全勝、自民全敗に終わった件についての総括 【山本一郎の視点】タワマンが林立する魔境・東京15区、須藤元気を2位に押し上げた投票先なき自民党支持者の憂鬱
さて、視聴者や関係先から「おまえ、日本保守党どう思ってんの」って最近よく聞かれるようになりました。結論からすると「よく分からん」のです。
正直、DHCテレビやら日本会議やら百田尚樹さん有本香さん方面とはほんのりお声がけは賜りつつも「ワイのカラーではないし、揉めたらきっと面倒くさいことになるだろうな」と思って距離は置いてきましたし、共通の知り合いこそ多いものの頼んだり頼まれたりする関係になったらそれこそ厄介なことになるだろうと思ってお互い冷静にスルーしてきた感じでしたから、今回の東京15区での飯山陽さんのご出馬は「ついに来たか」感はあります。
ただまあNHK党や参政党、れいわ新選組などのインディー政党の中で言うならば日本保守党もその箱に入る民族系右派政党であって、ネットde真実の皆さんとは相性が良いでしょうし、一定の割合そういう有権者が入っておく器は必要だと思うので、あること自体に問題はないと思うのです。
他方で、安倍晋三さんが培ってきた、俗に言う「岩盤支持層」というのは実際にはもうそんなの存在していないことは分かっていて、実際、今回の出口調査でも自民党支持している人は15区で約8%強しか飯山陽さんに投票していません。約23%が何と須藤元気さんに流れたことを考えれば、自民党の支持層において岩盤支持層はすでに失われて久しいか、そもそも存在せんのです。
一方で、日本保守党の政策的な主義主張はともかく、そういう主義主張に応援をしている有権者は一定の割合がいるのは分かっていて、それこそNHK党や参政党が出始めたのときに得た瞬間風速的な支持者の山が参院比例ガーシー200万票という泡沫界の金字塔を打ち立てたのと同じ現象を起こすこともあり得るとは思います。ただ、日本保守党に関して言うならば主義主張の正統性や矛盾のなさにはやはり限界があるので、いずれ分派になる恐れもある中で、信頼の置ける人が有本さんの周辺にしっかりと集って組織として盛り上げ、多少の意見の違いがあっても同じ方向を向いて頑張っていくのだというマネジメントができるのならば、左のれいわ新選組右の日本保守党のような構造にもっていくことはできなくもないかもしれません。
弱点はやはり日本保守党について言えば今回の飯山さん支持の構造ではやはり高齢者中心で、若い人たちの支持はそこまで高く見られませんので、生活保守とか勤労世帯向けにウケる政策を他の政策メニューと矛盾のない形で主張しないとどんどん先細りになっていきます。
これは、彼らを支える『Hanada』『WiLL』などの媒体や産経新聞のような、本当にそれを信じてるかどうかは不明ながらそういう客層相手に商売をしている人たちとうまく連携を取りながらマネタイズし、ある意味でファンミーティングのような選挙戦をイベント形式で盛り上げていけるのかというのが大事だと思います。その点では、政党というよりはイベンターなんじゃないかとすら思うのは参政党も同じです。エコーチェンバーではあるけれど、まずは外に出てきて自分たちのスターの演説を聞き気勢を上げて街を練り歩く楽しさに気づいたお年寄りが元気ならそれでいいじゃないかという。
その点では、自民も候補者がない中で一割も日本保守党に入れておらず、支持政党なしや諸派支持からの票のかき集めでしかないとするならば、やはり同じ箱に入っているのは参政党でありNHK党のようなその他インディーであることが良く分かります。たぶんですが、日本の有権者もそこまで馬鹿でもヒマでもないのです。でも、それをネットが繋いで一定の支持層を入れる器として機能させるのであれば、それは当然来年の参院選で比例一発2議席3議席を確保するような運動は可能かもしれないし、押しも押されぬ国政政党として交付金支給の対象となってもおかしくありません。だからこそ、日本保守党はせっかくの国粋主義的な民族保守政党としてちゃんとガバナンスを敷き、マネジメントをやればそこそこ長生きすることもあるんじゃねえのと思うのです。
蛇足ながら、れいわ新選組がなんだかんだあそこまで持っているのは、アホなことはやるけど叩かれてもあんまりめげない山本太郎さんが飽きずに頑張り、まあまあカネも組織も出来上がってアホなことを継続的にやり続けられる仕組みが出来上がったことにあると思っています。他のインディー政党が消えていく中で、ポスト日本共産党のポジションまでれいわ新選組がまあまあ成長してきたのはそういう組織化に成功したからということだろうとも思うのです。そして、主義主張はともかく共産党の支持層が高齢化しているのをしり目に、本来なら共産党がSEALDsなどで取り込みたかった若者左翼をちゃんと入れるハコとして機能し始めたれいわ新選組は共産党さえもいずれ飲み込んでいくぐらいに成長する可能性があります。
その点では、むしろ成長限界点が近いのは都民ファーストの会や国政政党ファーストの会のほうであって、結局は番頭、マネジメント次第ってのは会社組織も政党も変わらんなというのが正直なところなんですよね。これで小池百合子さんに万一があったりしたら、本当に都民ファーストは大変なことになるし、維新の会はそれでもなんだかんだ代替わりできるほど組織的にいけるようになったのももともとは自民党大阪府府連を母体とした運営があったからだとも言えます。
あとは何を目指すのか、何をゴールにしてやっていくかってところなんでしょうけれども、それはまあ、好きに考えたら…
やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」
Vol.439 インディー政党の存在意義みたいなものをぼんやり考えつつ、LINEヤフー問題の核心や迷走するTeslaの有り様に触れる回
2024年5月1日発行号 目次
【0. 序文】日本保守党と飯山陽絡みで調査方としていつも思うこと
【1. インシデント1】LINEヤフー情報戦と、スパイ容疑で亡くなった湯本淵さんとの接点
【2. インシデント2】朝令暮改と強気な発言でやりすごすTeslaの事業継続性
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
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